本物の冒険家と出会う Coober Pedy

オーストラリア

Coober Pedyの宿では、クレイジーな冒険家との出会いがあった。

彼は4人部屋の先客で、部屋に1つしかないコンセントをどう2人で使うか、みたいな会話を最初にしたのを覚えている。

気持ちよく眠った翌朝、一服しに外に出ると、宿の裏口の風通しのいいテーブルで彼がくつろいでいた。

声をかけて同席させてもらう。

なかなかに人の居心地の良さを気にかけてくれる人で、時間があっという間に過ぎていった。

声をかけたのが8時くらいだろうか。10時にはチェックアウトするつもりだったのだが、そのまま分かれてしまうのもあまりに名残惜しい。

彼と話し足りなかったので、延泊することにした。

「お前が延泊を決めてくれて俺もうれしいよ」

なんて言われて、小っ恥ずかしくならずに済むのは、お互いに母国語じゃない会話のいいところだな、なんて思う。

ドイツ人のアンディ

この好人物アンディは、ドイツから来たという。

日本人とドイツ人は気が合うという話をよく聞くけど、どうなんだろう。

ともあれ、お互いにゆっくりする日になったということで、朝からビールをあける。

聞けば、Port Augustaから歩いてきたという。

えっ!?いったい何キロあると思ってるんだ。こいつはナニを言ってるんだ?

Stuart Highwayを真っ直ぐ歩いても550kmだ。

しかしこの人のすごさはそれだけではなかった。

歩く場所は、道路ではなく、荒野の道もないところ。

食料は、鳥でもヘビでもトカゲでも自分で捕まえて食べる。

とにかく、そういうサバイバルをやりに来たんだという。

たしかに、ドイツどころかヨーロッパ中を探してもちょっと無い環境ではあるだろう。

「水はどうするんだ」と聞いたら、20キロくらい背負っていくとか。

体の鍛え方が違う。

しかし想像ができない。こんなところを延々と歩いていくのだ。

暑さにばてながら、水の残りを心配しながら、迷ってないか気にしながら、数十キロの重装備にあえぎながら、腹をすかせて獲物を探しながら、歩く。

すごい。そして、命がけだ。

行動する時間も、Marreeで聞いたように、早朝と夕方に動いて、日中はテントを張って休むという。

そのテントも、張るための体力を節約するために、ワンタッチで開くようなものを選んだとか。

ナイフを見せてもらったが、クロコダイル・ダンディーが持っているような巨大なものだった。

僕の折りたたみナイフと並べて、その格差にはまぁ笑ったもんだ。

次の目的地はAlice Springsだということで、また同じくらいの距離がある。

再出発までに、英気を養いたいのだろう。それまでは気ままにのんびり過ごすようだ。

僕も1日出発を延ばしたので、この日はアンディとのデートになった。

Coober Pedyをぶらぶら

とりあえず、町を散歩だ。

ヨーロッパのような美しい町並みではないが、野郎二人にはむしろお似合いの荒々しい風景を楽しむ。

こんな錆びれ果てた車や道具があちこちにある。

町の博物館にも遊びに行った。

前回の記事に上げた写真もそのときのものだ。

笑えたのは、砂利の山で宝石堀りをしたこと。

おそらく、探せば有料の、それなりの宝石が採れるようなイベントもあるのだろうが、僕らのノリは飽くまで洒落だ。

その辺の、採掘した砂利を捨てたであろう山を浚いにいく。

そんなところでも、ガラス質の何かが石の中に混じっているようなものが、結構あちこちに転がっているのだ。

「あそこになんか光ってる!」

「これなんか結構大きいぞ!」

無知な僕らは、童心に帰ってはしゃぐ。

この日も相変わらず燃えるように暑かったが、遊んでいると暑さもわすれるもので、小一時間は宝石探しをしていただろうか。

昔の採掘者たちの気持ちも少しはわかったかもしれない。

こんなことで儲けられるなら、みんな夢中になるよな。

意気揚々と宿に帰る

僕とアンディと、それぞれ綺麗な石を掘り当て、互いに自慢しながら宿に戻る。

まぁね、1時間はがんばったからね。

500円くらいは値のつくものだとうれしいよね。

で、せっかくだから宿の主人に簡単に鑑定してもらおうと見せてみると、パッと見るなり、

「あぁそりゃゴミだね」。

いや、頭の中の冷静な部分ではわかってた。

でも、敢えて盛り上がっていた部分の気持ちが、やっぱりがっかりするもんだ。

まぁ楽しく遊んだからいいか。

その石は、ニュージーランド辺りまでは大事にバイクのタンクケースに入れていたが、知らない間にどこかに行ってしまった。

そんなこんなで、Coober Pedyでの滞在は思いもよらず楽しいものになった。

こういうのがあるから旅って面白いし、ホームシックにならずにも済む。

今回も出会いに感謝だ。

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